豆知識・お役立ち情報
パッケージ包装はラッピングや梱包と違う意味?
ここでは、パッケージ包装やラッピング、梱包などの意味の違い、食品包装の目的、包装の種類などについて詳しく解説しています。
私たちが商品を消費するにあたり、商品そのものが裸で店頭に陳列していることは、見本品以外にほとんどありません。
ほぼすべての商品は、何らかの方法で包装されています。
包装されている各商品は、店頭に輸送されるプロセスにおいても、更に大きくて頑丈な包装が施されています。
自社商品の適切な包装を選択する上で、当ページにて解説している包装の基礎知識がお役に立てれば幸いです。
パッケージ・包装・梱包・ラッピングの違い
パッケージ・ラッピング・梱包・包装という4種類の言葉。
いずれも「商品を包むこと」という点では共通していますが、厳密には、それぞれの目的や意味が重なっている部分や異なっている部分があります。
例えばパッケージには、「複数の商品をひとまとめにしたもの」というニュアンスが含まれますが、ラッピングや梱包では、そのようなニュアンスがさほど強く含まれません。
また、それぞれの言葉には以下のようなニュアンスがやや強く含まれます。
– パッケージ…複数の商品をひとまとめにしたもの
– ラッピング…プレゼントとして商品を美しく包むこと
– 梱包…輸送目的で商品をまとめること
– 包装…商品を包むこと全般、商品を魅力的な外観に包むことなど
それぞれ意味合いに違いはありますが、重複している部分も少なくありません。
なお、JIS規格(※)では、梱包と包装を次のように定義しています。
JIS規格では難しい表現で定義されていますが、おおむね、私たちが日常で使っている「梱包」「包装」のイメージと大差ありません。
※JIS規格…日本国内の産業製品に関する標準的な規格。
梱包
輸送を目的とした木製容器、鋼製容器、段ボール製容器などによる包装。
荷造りと呼ぶこともある。
包装
物品の輸送、保管、取引、使用などにあたって、その価値及び状態を維持するために、適切な材料、容器などに物品を収納すること及びそれらを施す技術、または施した状態。
これを個装、内装及び外装の3種類に大別する。パッケージングとも言う。
食品包装の3つの目的
包装の一種として私たちが日常でよく目にする「食品包装」。
食品包装は、主に3つの目的で行われています。
品質維持
食品包装の目的の1つが品質維持。
生産や流通、消費の過程での外的ダメージから食品を守り品質を維持すること、及び食品の鮮度や美味しさを維持することが食品包装の大きな目的の1つです。
食品包装によって食品が良質な状態で維持されれば、消費期限が延長されて食品廃棄の抑制につながるかもしれません。
ひいては、地球環境問題の解決に向けた一助ともなるでしょう。
販売促進
包装の中身が同じ食品であっても、包装のデザイン次第では、購買者の購買意欲が違ってくるものです。
シンプルでPR感のない包装に比べれば、美味しそうな画像が印刷された包装のほうに、多くの人は注目することでしょう。
消費者の視覚に訴えることで販売促進に役立てることは、包装の大事な目的の1つとなります。
また、包装には食品の材料や品質期限、アレルゲン、栄養構成、調理方法などを表示する大事な役割もあります。
輸送・保管
商品を効率的に箱詰めできる形状に包装することで、輸送の際の積載効率が上がります。
結果として、輸送コストや輸送労力の削減にもつながるとともに、倉庫や店舗での保管効率も向上することでしょう。
また、電子レンジでそのまま温めるだけで食べられる包装にしたり、チャックによる開閉機能が付いた方法にしたりすれば、消費者側の保管利便性も向上します。
包装の主な種類
包装の種類は、「商品の保護や鮮度維持などを目的とした包装」と「ビジネス上の目的による包装」の2つに分けられます。
それぞれにおける包装の種類を見てみましょう。
商品の保護や鮮度維持などを目的とした包装
商品の保護や鮮度維持などを目的とした包装は、主に「個装」「外装」「内装」の3つに分けられます。
個装
個装とは、1つ1つの商品単位でまとめられた包装を言います。
包装貨物の内部の包装と言っても良いでしょう。
コンビニやスーパーなど、大半の小売店で販売されている商品は1つ1つの商品単位でまとめられているため、個装の一種となります。
個装の主な目的は商品の品質維持、見栄えの良い外観による販売促進、輸送中や保管中の商品保護などです。
なお、個装であるか否かは商品の大きさではなく、あくまでも1つ1つの商品単位でまとめられているかどうかにあります。
仮に一人では移動させられないような巨大な商品であっても、それが1つの商品であれば、その包装は個装に分類されます。
外装
外装とは、個装された商品をまとめて収納する包装を言います。
包装貨物の外部の包装と言っても良いでしょう。
例えばスーパーが同じお菓子をまとめて仕入れる際、1つ1つの個装された状態ではなく、複数の個装されたお菓子をまとめた段ボール単位で仕入れます。
この際の段ボール箱が外装となります。あるいは、個装された商品をロープなどで結束させることも外装の一種となります。
外装の目的は、輸送時や保管時の衝撃などから商品を守ることです。
良質な個装の商品を店頭に陳列するためには、外装が非常に重要な役割を果たします。
内装
内装とは、個装と外装の間で行われる包装を言います。
例えば、1つ1つの商品の包装が個装、個装を10個単位にまとめた包装が内装、内装された商品を10個収納した段ボール箱が外装となります。
内装の目的は、個装された商品を衝撃や湿気、光などから守ること。個装された商品は、内装と外装の二重体制で守られていることになります。
ビジネス上の目的による包装
ビジネス上の目的による包装は、主に「工業包装」と「商業包装」の2つに分けられます。
工業包装
工業包装とは、工場などで生産された商品を卸会社などに輸送する際、商品を保護する目的で行われる包装を言います。
卸会社からスーパーなどへ商品を輸送する際の包装も工業包装です。
「外装=工業包装」となることもありますが、一般的にはより強度のある包装を工業包装としています。
一般的に工業包装には、いわゆる「プチプチ」や再生古紙など、商品に適した緩衝材が同梱されます。
商業包装
商業包装とは、消費者の購買意欲を向上させる目的や商品の品質維持を目的に行われる包装のことです。
消費者包装とも言います。
先に挙げた個装も、実質的には商業包装となります。
商業包装には、多くの消費者が「買いたい」と思えるようなデザインが施されます。
包装ツールの種類
以上の分類とは別で、包装ツールごとに、より具体的に包装の種類を分けることもできます。
身近な例としては次のような包装です。
ペットボトル
ペットボトルとは、PET(ポリエチレンテレフタレート)と呼ばれるプラスチックの一種を利用したボトル型の包装のこと。
飲料の容器としておなじみの包装です。透明性、耐熱性、耐薬品性、空気バリア性に優れた特性を持ちます。
缶
缶とは、スチール(鉄)またはアルミを使用した包装のこと。
缶詰製品、飲料、お菓子、燃料などの容器として広く用いられています。
缶がはじめて登場した時期は1800年代。
日本では、1871年(明治4年)に長崎で作られた「いわし油付け缶詰」が、缶包装の最初の例とされています。
紙パック
紙パックとは、プラスチックや金属箔でラミネートされた紙による包装を言います。
牛乳やジュース、お酒などの包装として、日常的にもおなじみです。
軟包装
軟包装とは、プラスチックフィルムなどの薄くて柔らかい包材を用いた包装を言います。
フレキシブル包装、軽包装とも言います。
防曇袋(ぼうどんぶくろ)
防曇袋とは、曇り止めが施された包材を言います。
野菜や果物などは、収穫後も呼吸を続けていますが、この呼吸によって包材の内部が曇ってしまうと、その湿気によって野菜や果物自体の劣化が早くなります。
このような湿気による商品劣化を防ぐための包材が防曇袋です。ボードンとも言います。
ガス置換包装
ガス置換包装とは、包装内部の酸素を窒素ガスに入れ替えて行う包装を言います。
商品の酸化を防ぎ、長期間にわたって良質な品質を維持させるための包装です。
ガスを置き換えることに加え、遮光性を高めるためにアルミ素材を混ぜた包材を使用することもあります。
茶葉の包装としてよく見られるタイプです。
ラッピング・梱包・包装の例
ラッピング、梱包、包装のイメージを掴むため、それぞれの例を見ていきましょう。
ラッピングの例
ラッピングには、「プレゼントとして商品を美しく包むこと」というニュアンスが含まれています。
箱などに入った商品を、更に見栄えの良い紙などで包んでリボンを添えるようなイメージです。
ラッピングサービスを行っているお店では、ラッピング専用のペーパーやリボン、メッセージカードなども用意していることがあります。
梱包の例
梱包の主な目的は、輸送中における商品の破損を防ぐことにあります。
商品の中身は問いませんが、外装は段ボール箱や厚紙封筒、木箱などが一般的。
外部からの衝撃を緩和させるため、多くの場合、内部には緩衝材を同梱しています。
包装の例
包装は「商品を包むこと全般」を指す言葉ですが、現在では特に「商品を魅力的に包むこと」という意味合いが強くなっています。
例えば、慶事や弔事などでの贈り物の包み、デパートなどでのデザイン性の高い紙袋、本を購入した際に施されるブックカバーなどです。
ラッピングの例で挙げたラッピングペーパーやリボンも包装の一種と考えて良いでしょう。