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海外輸送で無事届けるために必要な梱包とは?
日本は四方を海で囲まれているため、モノを外国へ送る際には、船舶や飛行機を利用しなければなりません。現地へモノが到着した後も陸送や積み替えが行われることから、国内での輸送に比べてモノへの衝撃頻度が大きくなります。
外国にモノを送る際の梱包を輸出梱包と言いますが、モノの破損を防ぐため、輸出梱包は国内輸送の梱包よりも厳重に行わなければなりません。
ここでは、輸出梱包の概要や主な梱包方法、依頼先などについて解説しています。
輸出梱包とは
輸出梱包とは、日本国内から外国へモノを送る際に行う梱包を言います。
輸送距離や輸送時間が長いため、国内輸送に比べるとモノの破損リスクが高め。先方に破損したモノを届けないよう、モノの特性や重量等に応じた適切な梱包が必要となります。
輸送手段は航空機か船舶
日本は四方を海で囲まれている以上、輸出梱包されたモノの輸送手段に航空機か船舶を利用せざるを得ません。
輸送日数を短縮したい場合には航空機を利用することになりますが、船舶に比べ、航空機の利用料金は高額。また、大型貨物は航空機で運べないなど、様々な制約もあります。
一方、船舶での輸送は航空機よりも低額で依頼できますが、目的地までの到達に多くの日数を要します。例えば、日本の近隣国とも言える東南アジアに輸送する場合でも、長くて1か月ほどかかることもあります。
水濡れ対策や湿度対策も必要
輸出には長い日数を要するため、国内輸送に比べると、モノの破損リスクが高まります。輸送中の振動や衝撃はもちろんですが、特に注意したいのが水濡れや湿度。海上コンテナで輸送する場合、コンテナの中の湿度が100%となったり、昼夜の温度差によって結露が生じたりすることもあるため、シンプルな段ボール梱包は適さないことも少なくありません。
水濡れ対策や湿度対策が万全だったとしても、現地に着いてからの陸送の際、道がデコボコなこともあります。日本とは違って道路が整備されていない国も多いので、より厳重な梱包が必要です。
届いたモノの不具合が理由で損害賠償を請求されるケースもある
例えば、海外の工場ラインで使用する備品を送る際、輸送途中の衝撃や湿気等で部品が破損すれば、工場ラインを稼働させられない可能性もあります。
場合によっては、工場ラインから生まれるはずだった機会損失分の損害賠償を請求されるかもしれません。
輸出に関しては様々な保険が用意されていますが、補償対象とならない事態が生じた場合、送った側は不測のコストを負担することになります。
会社としてのリスクを避けるため、輸出梱包は極めて重要な要素の1つと心得ておかなければなりません。
輸出に利用される主な梱包の種類
輸出に利用される主な梱包の種類を見てみましょう。
木箱梱包
木で作られた梱包資材で、主なタイプとして「密閉箱」と「すかし箱」があります。
密閉箱とは、段ボール箱のように6面をすべて木で密閉した箱のこと。すかし箱とは、木の板を網目状につないで箱状に形成した隙間のある箱です。
いずれも、輸出梱包では一般的に利用されている梱包方法となります。
スキッド梱包
木材やスチールで作られた腰下(スキッド)の上に荷物を置き、荷物が腰下からズレないよう固定した梱包方法。木箱などとは異なり、モノの外周や天井を覆いません。
一般的に、コンテナ1個分の大型の荷物を輸送する際に用いられる梱包方法。コンテナ自体が梱包資材と考えることもできます。
スチール梱包
密閉箱やすかし箱、スキッド梱包などの素材として、木ではなくスチールを用いたタイプがスチール梱包です。20~30t以上など、重量のある荷物の輸送に適しています。
パレット梱包
段ボール箱などをパレットの上に積み上げ、荷崩れしないようしっかりと固定する梱包方法。パレットは単なる荷台の役割となります。
パレットに設けられた隙間から爪を入れれば、フォークリフトで効率的に荷物の積み下ろしができます。
バリア梱包
輸送中、水濡れや湿度などによってモノに錆が発生しないよう施される梱包方法。防水性に優れたアルミ製の素材で荷物を覆い、その中に乾燥材を入れることで錆の発生を防ぎます。
税関での目視検査に対応するため、ケイ素を含んだ透明な素材によるバリア包装もあります。
バンドル梱包
モノをバンドルでまとめるように固定した梱包方法。輸送中の衝撃が直接モノに伝わるため、配管や鉄材など、衝撃に強いモノの輸送にのみ使われます。
輸出梱包は自分でやる?専門業者に依頼する?
輸出梱包は、その方法が適切であれば誰が行っても構いません。
ただし、メーカーが自社内に梱包専門の部署を設けていない限り、ほとんどの場合は梱包の専門業者に依頼する形となります。
梱包業者に依頼するメリット
梱包業者なら、モノの種類や重量などに応じた適切な梱包方法を熟知しているため、基本的にはモノの破損なく安全に目的地まで輸送してもらえます。
また、輸出に際しては通関処理や船積などの煩わしい手続きも必要となりますが、輸出手配も行っている梱包業者に依頼すれば、これらの手続きの手間も省けます。
梱包業者に依頼するデメリット
輸出梱包は専門性の高いサービスとなるため、依頼には相応のコストが掛かることが避けられません。
モノの価格を設定する際には、梱包・輸送コストも考慮しなければならないことは言うまでもありません。
梱包業者に依頼する際の注意点
輸出梱包を行っている業者では、月末などに依頼が立て込むこともあります。そのため、月末ギリギリに依頼しても、予定通りのスケジュールでは現地にモノが届かないこともあります。
送り先に伝えた期日までに必ずモノを届けたいならば、余裕を持って業者へ輸出梱包を依頼しましょう。
個人で海外にモノを送る際の注意点
国内業者から海外業者への大がかりな輸出に比べ、国内の個人が海外の個人へモノを送る際の梱包や手続きは、比較的容易です。以下2つの注意点を確認しておきましょう。
送れるモノかどうかを確認する
航空機や船舶に載せられない危険なモノは、全世界共通で海外に送ることができません。スプレー缶、電子タバコ、花火、アルコール濃度24%を超えるお酒などです。
また、宛先の国によっては送れないものもあるため、事前に送り先の国のルールを確認しておく必要があります。
安全な梱包をする
小型で軽いモノならば、国内の輸送と同様、段ボール箱に入れて送ることも可能です。ただし、輸送距離や輸送時間が長いことを考慮し、できれば強化段ボールを用意し布製ガムテープでしっかりと留めましょう。
梱包したモノを物流会社の営業店に持参したり集荷を依頼したりすれば、国内の輸送と同様、簡単に海外へ送ることができます。
【まとめ】海外へモノを送る際には厳重な梱包が必要
海外へモノを輸送するには、長い時間がかかります。輸送に時間がかかるということは、それだけモノの破損リスクも高まるということ。
取引先との信頼関係構築・維持のためにも、しっかりとした梱包が必要です。
輸出梱包の適切な方法を知りたい方は、一度、梱包の専門業者に相談するようおすすめします。