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包装・パッケージの用途や素材の種類までまとめて解説
豆知識

包装・パッケージの用途や素材の種類までまとめて解説

ここでは、包装・パッケージに関する情報を網羅してまとめています。
特に包装の目的や種類、形態、素材などに関する包括的な情報、および、フィルムを使った包装に関する情報を詳細に解説しています。

包装の分類

包装は、大きく「商品の保護・鮮度維持などを目的とした包装」と「ビジネスを目的とした包装」の2つの視点から分けられます。
それぞれの視点から見た包装の種類を確認してみましょう。

商品の保護・鮮度維持などを目的とした包装の分類

個装
個装とは、1つ1つの商品を別個に包装する方法を言います。スーパーやコンビニ、ホームセンターなどで販売されている多くの商品は個々で包装されているため、個装に分類されます。
個装の主な目的は、商品の品質維持です。
特に食品の場合、鮮度や衛生面に配慮する必要があることから、多くの商品で個装が選択されています。
また、商品の見栄えを良くして商品価値を高めることも、個装の主な目的のひとつです。
なお、個装の基準では、商品の大きさを問いません。ごく小さな商品でも、1人では持てない大きな商品でも、商品1つごとに包装されていれば個装に分類されます。

外装
外装とは、個装された商品などの外側に、追加的に施される包装を言います。
例えば、スーパーに陳列されているチョコレートは1個ずつ個装されています。しかし、スーパーに届けられた時点では、個装されたたくさんのチョコレートをまとめた段ボール箱などで届きます。
この時の段ボール箱のことを、外装と言います。
また、箱にはまとめず個装された商品等をロープなどで結束しただけの状態も、外装と呼ばれます。
外装の目的は、輸送・保管する商品を汚れや衝撃などから守ることにあります。破損した商品を販売用として陳列できないため、外装は非常に大切な包装となります。

内装
内装とは、個装と外装の中間にある包装を言います。チョコレートの例で言えば、11個の商品を包んでいるのが個装、個装された30個のチョコレートをまとめて入れている箱が内装となります。
また、内装された箱を30箱まとめた段ボール箱が外装となります。
内装の目的は、個装された商品を水や湿気、熱、光、衝撃などから保護すること。個装された商品は、内装と外装の二重体制でその品質が維持されていることになります。

ビジネスを目的とした包装の分類

工業包装
工業包装とは、製造工場や卸会社などから店頭へ商品を運ぶ際、商品を保護する目的で施される包装を言います。商品保護が目的である以上、外観よりも耐衝撃性の高さが重視される包装です。
工業包装によく用いられる梱包材は、段ボールや発泡スチロール、エアキャップなどです。更に商品への衝撃を緩和させるため、梱包材の中にはプラスチック製袋や再生古紙などの緩衝材を挿入することが一般的です。
上記の外装は工業包装となりますが、広い意味では内装や個装も工業包装の一種という解釈もできます。

商業包装
商業包装とは、11つの商品の品質維持や、消費者の購買意欲の向上などを目的に施される包装を言います。上記の個装が商業包装にあたります。
消費者の購買意欲を高めるためには、商品の品質はもちろん大切ですが、その外観も非常に大切な要素です。シンプルで色気のない個装の商品よりも、色彩やデザインが上質な個装のほうが、より多くの消費者の心を捉えることになるでしょう。

包装に使用される材料・形態

包装に使用される材料・形態は実に多彩ですが、大きなくくりとしては「紙」「プラスチック」「金属」「ガラス」「軟素材」の5種類に分類されます。
それぞれの素材・形態の概要を確認してみましょう。

紙で作られた包装の主な例としては、ブリックタイプやペーパー缶タイプの「液体紙パック」、製函トレイや絞り形成トレイなどの「紙トレイ」などがあります。また、化粧箱や包装紙、段ボールなども含まれます。
紙包装の大きな特徴は、印刷のしやすさとリサイクルのしやすさです。商品の魅力を高めるためのデザイン性が高い印刷を施すことができる点と、広げて乾かしてリサイクルに回すことができる点は、紙包装ならではの特徴と言えます。
リサイクルに回さない場合でも、紙ごみとして簡単に廃棄できる点も特徴と言って良いでしょう。
利点の多い紙包装ですが、耐水性や耐油性、酸素バリア性が低く、ヒートシール性がない点は欠点です。
特に耐水性の弱さは紙包装の最大の弱点となるため、食品を直接包装する場合には、紙容器の内側にプラスチックをラミネートする形で使用します。

プラスチック包装

プラスチック包装が用いられる主な例としては、各種飲料やシャンプーのボトル、調味料用のボトル、医薬品の保管容器などです。
また、一般的には瓶を用いることが多いワインボトルも、近年はプラスチック容器で代用される例が多く見られるようになりました。
プラスチック包装に使用されている素材は、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)など。これら4種類の素材が、プラスチック包装全体で使用されている素材の95%以上を占めています。
なお、プラスチック包装は、他の素材を構成に加えることで、内容物の性質や目的に応じてバリア性やシール性、耐熱性、耐湿性などの特定の性質を高めることも可能です。

金属

金属の包装が用いられる主な例は、缶詰や清涼飲料水、燃料容器、業務用調味料容器、キャップなどです。
ただし昨今では、清涼飲料水や調味料などのように、金属の包装からプラスチック包装への移行が進んでいるものも少なくありません。
金属の包装に使用されている素材は、アルミやスチールなどです。腐食を防止する目的でスズやクロムがメッキされたり、樹脂がコーティングされたりすることもあります。
金属の最大の特徴は、何よりその強度です。あらゆる包装タイプの中で、もっとも耐衝撃性が高い包装と考えて良いでしょう。
耐衝撃性の他にも、遮光性やガスバリア性、密封性、保存性などの様々な特徴を兼ね備えていることから、多少使い勝手が悪くても、金属包装がなくなることはないでしょう。

ガラス

ガラス製の包装が用いられる主な例は、お酒や調味料、ジャムなどです。かつては牛乳容器を含めた幅広い用途に用いられていました。
しかし、重くてかさばること、輸送コストが高くなること、衝撃で破損しやすいことなどを理由に、「ガラスでなければならないもの」を除き、近年では徐々に紙包装やプラスチック包装に移行しつつあります。
ガラス包装の特徴は、透明性があり内容物を視認しやすいこと。
また、高級感のある保存容器として認知されていることも、販促の観点から見れば欠かせない特徴となるでしょう。

軟素材

軟素材による包装(軟包装)の主な例としては、菓子やパン、肉、魚、カップ麺などの食品類の他、CDやDVD、レターケース、レジ袋、医薬品などの各種日用品まで、非常に多岐にわたります。
「様々な商品を包んでいる柔らかいプラスチック性のフィルムによる包装」が、軟素材による包装と理解してください。
軟素材による包装で使用されている素材は、PEPPPSPET、アルミなど。素材の組み合わせにより、密封性や遮光性、耐熱性、耐寒性、防湿性など、各商品に求められる必要な特性を高めることができます。

軟包装の種類と用途

上で説明した「軟包装」は、大きく「単体フィルム包装」「多層フィルム包装」「レトルトパウチ包装」の3種類に分けられます。それぞれの概要を確認してみましょう。
なお、説明に登場する一部素材の詳細について、ページ後半でまとめてご紹介しています。

単体フィルム包装

単体フィルム包装とは、フィルム単体だけで使用される包装方法を言います。主な用途例としては、生鮮食品や菓子類、加工食品などが挙げられます。
フィルムに多く用いられる素材はPEPP
野菜や穀物の包装にはLDPE、パンや麺類の包装にはLDPECPPなどが多く用いられています。また、熱固定されていない延伸フィルム素材については、ブロー成型ボトルや集合包装などに用いられる熱収縮性フィルムとして使用されています。
ただし昨今は単体フィルムの使用例が限定され、現状、各種商品の特性や目的に応じたフィルム包装の多層化が進んでいる状況です。

多層フィルム包装

多層フィルム包装とは、複数の素材を多層化させたフィルム包装を言います。
多層化の代表的な基本構成は、印刷基材/シーラント、印刷基材/ガスバリア材/シーラント、印刷基材兼ガスバリア材/シーラント、印刷基材/補強材/ガスバリア材/シーラント、などです。
印刷基材としては、2軸延伸PET2軸延伸PPOPP)、2軸延伸ナイロン(ONy)が用いられます。また、ガスバリア材としては、EVOHPVDC、アルミ箔やアルミ蒸着フィルムなどが用いられます。
他にも、耐熱性が必要な場合には無延伸PPCPP)、補強が必要な場合にはPETONyなど、目的に応じた多様な素材が投入されます。

レトルトパウチ包装

レトルトパウチ包装とは、主にカレーやハンバーグなどの加工食品を包装する方法の1つです。
「レトルトパウチ」という言葉自体が、すでに業界用語ではなく日常用語となっているため、多くの方がイメージしやすい包装方法でしょう。
レトルトパウチの種類を大きく分けると「アルミ箔タイプ」と「透明タイプ」の2種類。アルミ箔タイプのレトルトパウチのほうが使用例は多く、耐衝撃性を高めた包装や耐熱性を高めた包装など、様々なタイプが開発されています。
透明タイプのレトルトパウチは、ONY/CPPで構成されることが一般的です。

パウチ包装の種類・素材

食品流通業界をはじめ、多くの業界で欠かせない存在となっているパウチ包装。
ここでは、各種パウチ包装の中から以下5種類について詳しくご紹介します。

アルミ袋

アルミ袋とは、アルミ箔の特徴を活かした包装の一種です。
アルミ箔は、他の素材よりもバリア性や遮光性、耐熱性などに優れている点が特徴です。
しかし、逆に素材の柔軟性が劣るという弱点があることから、他の素材とあわせた構成で使いやすい状態にして使用される例が多く見られます。
代表的なアルミ袋のラミネート層は34層構成。袋の外側から順番に、例えば「PET/ナイロン/アルミニウム/無延伸ポリプロピレン」や「ナイロン/アルミニウム/ポリエチレン」、「PET/アルミニウム/ポリエチレン」のように、アルミ箔を別のフィルム素材に挟む形でラミネートが構成されます。

アルミ蒸着袋

アルミ蒸着袋とはアルミ泊の特徴を活かした包装の一種で、真空釜の中にプラスチックフィルムを通し、その中でアルミ箔を蒸着させたタイプの包装です。
構成素材となるプラスチックフィルムには、強度やバリア性、耐熱性に優れた特性を持つPRTが多用されます(ペットボトルと同じ素材)。
上述のアルミ袋に比べてアルミ蒸着袋は防湿性や遮光性などに劣りますが、表面の光沢性が高く、触感が柔らかいため、主にデザイン性を要する食品の包装に用いられています。

スパウトパウチ

スパウトパウチは、シャンプーや洗濯洗剤などの詰め替え用容器、ゼリー飲料や調味料の包装容器としてよく目にするパウチ包装です。内容物の出口にプラスチック製の注ぎ口があります。
ボトルや瓶などに比べて省スペースで軽くて持ち運びや流通の利便性が高く、企業にとっては容器を作る際の金型を用意する必要がありません。このように利点が多いことから、近年ますますその流通量が増加しています。
もともと内容物の詰め替え用容器として多用されていましたが、昨今スパウトパウチのまま使用するグッズなども販売されているため、詰め替えずに使える例も増えてきました。
なお、あまり知られていませんが、スパウトパウチは日本で発明された包装方法です。権威ある「デュポン・パッケージング賞」(アメリカ)で、1995年、スパウトパウチは日本初の最優秀賞を獲得しています。

スタンドパウチ

スタンドパウチとは、液体などの内容物を入れた状態のまま、立てておくことができる袋状のパウチ包装です。底ガゼット(底マチ)を付けることで、パウチを立てることに成功しました。
スタンドパウチはフランスで開発されたパウチ包装ですが、1970年ごろから徐々に小売市場に浸透。省スペースを必要とするコンビニエンスストアの出店数増加にともない、日本でもスタンドパウチに入った商品は多く流通するに至りました。
その利便性に加え、昨今では目立ちにくい商品をあえてスタンドパウチに入れるなど、消費者の購買意欲を高める目的でスタンドパウチが用いられることもあります。

ミニパウチ / スティック

ミニパウチとは、液体や粉末、錠剤、ゼリーなどを少量だけ個包装するタイプのパウチ包装です。刺身や寿司用の醤油やわさび、シャンプーや美容液などの試供品、スティック状の栄養ゼリーなどでよく目にする包装です。
他のパウチ包装とは異なり、基本的に1回限りの使い切りタイプとなるため、内容物が空気に触れる機会が少ないことから高い劣化防止効果を発揮。
持ち運びにも便利で取り扱いやすいため、今や私たちの生活に欠かせないパウチ包装の1つとなっています。

食品における多層パウチ包装の用途例

多層フィルムを使用した食品の多層パウチの用途例について、9種類の包装方法に分けてご紹介します。
ご紹介している「材質構成例」の一部素材に関する詳細は後述します。

真空包装

真空包装とは、包装内部から空気を抜いて真空状態にして食品を包装する方法です。

ソーセージ、ハムなど(畜産加工食品)の素材構成例
– PET/EVOH/LDPE
– NY/EVOH/LDPE
– ONy/EVOH/LDPE

かまぼこ(水産加工食品)、生麺などの素材構成例
– KOP/LDPE
– KONY/LDPE
– PET/LDPE
– ONy/LDPE

緑茶、コーヒー、カット野菜などの素材構成例
– PET/アルミ蒸着PET/LDPE
– OPP/EVOH/LDPE

ガス置換包装

ガス置換包装とは、包装内部の空気を特定のガス(窒素、二酸化炭素など)に置き換えて食品を包装する方法です。

スナック菓子、削り節、コーヒー、緑茶などの素材構成例
– KOP/LDPE
– KONY/LDPE
– ONy/LDPE
– NY/MXD/NY/LDPE

ハム、ソーセージ、チーズなどの素材構成例
– ONy/EVOH/LDPE
– PET/EVOH/LDPE
– NY/EVOH/LDPE
– NY/EVOH/LDPE

各種水産加工品の素材構成例
– PVAコートOPP/LDPE
– OPP/EVOH/LDPE
– アルミ蒸着PET/LDPE

カステラ、和菓子などの素材構成例
シリカ(アルナ)蒸着PET/LDPE
– OPPまたはPET/アルミ蒸着CPP

レトルト食品包装

レトルト食品包装とは、文字通り、カレーやハンバーグなどのレトルト食品を包装する際に用いられる方法です。

カレーやハンバーグ、ミートソース、ご飯などの素材構成例
– ONy/CPPE
– PET/アルミ箔/ONy/CPPE
– PET/アルミ箔/CPPE
– ONy/MXD/ONy/CPPE

脱酸素材封入包装

脱酸素剤封入包装とは、食品の劣化防止を目的に脱酸素剤とあわせて食品を包装する方法です。

和菓子、洋菓子、餅などの素材構成例
– KOP/LDPE
– NY/MXD/NY/LDPE
– ONy/LDPE
– KONY/LDPE

水産各食品、米飯などの素材構成例
– PET/EVOH/LDPE
– NY/EVOH/LDPE
– ONy/EVOH/LDPE

珍味などの素材構成例
– シリカ(アルミナ)蒸着PET/LDPE
– OPP/EVOH/LDPE

鮮度保持包装

鮮度保持包装とは、青果物の鮮度を保つことを目的に利用される包装方法です。

青果物などの素材構成例
無機フィラー充填LDPE
– 表面活性剤添加PP/PP
– 微細孔LDPE

冷凍食品包装

冷凍食品包装とは、各種加工食品を冷凍状態にしたまま出荷・販売する目的で用いられる包装方法です。

野菜類、魚肉類、シューマイ・餃子・ピラフ(加工食品)などの素材構成例
– ONy/LDPE
– OPP/LDPE
– PET/LDPE

アセプテック(無菌)包装

アセプテック(無菌)包装とは、食品と包装素材の両方を滅菌の上、無菌環境下で行う包装方法です。

餅、スライスハムなどの素材構成例
– PET/EVOH/LDPE
– ONy/EVOH/LDPE

乾燥食品包装

乾燥食品包装とは、海苔やスナック菓子、インスタントラーメンなどのように、乾燥状態のまま販売することを前提とした食品に対して用いられる包装方法です。

海苔、スナック菓子、削り節、米菓などの素材構成例
– KOP/LDPE
– KONY/LDPE
– ONy/LDPE
– KPET/LDPE

粉末食品、インスタントラーメンなどの素材構成例
– OPP/EVOH/LDPE
– PVAコートOPP/LDPE
– PET/EVOH/LDPE
– NY/MXD/NY/LDPE
– シリカ(アルミナ)蒸着PET/LDPE

飲料・液体食品包装

飲料・液体食品包装とは、各種の液体状の食品を包装する際に用いられる包装方法です。

ジュース、液体スープなど
– ONy/LDPE
– PET/アルミ箔/LDPE
– KONY/LDPE
– PET/1軸延伸HDPE/アルミ箔/CPP

軟包装に使用されるフィルム素材

軟包装に使用されるフィルムには、大きく分けて「フィルム単体で使えるタイプ」と「複数枚のフィルムを貼りあわせて使うタイプ」の2種類があります。
単体で使えるタイプのほうは、そのまま袋に加工したり、ロール状のフィルムを専用の機械にかけたりして使用します。フィルムに使用される素材は、主にOPP(二軸延伸ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)などです。
一方で、複数枚のフィルムを貼りあわせて使うタイプのほうは、OPPPE系を含め、実に様々な種類があります。
以下、軟包装に使用される主なフィルム素材を確認してみましょう。

ONy(二軸延伸ナイロン)

食品ラミネート袋を中心に、幅広い用途で利用されている素材です。液体や真空の食品包装にはONyが多く使用され、他の素材とラミネートすればボイル・レトルトや冷凍食品にも対応可能です。
耐衝撃性、耐寒性、耐熱性、突き出し強度などに優れている特性があります。

HDPE(高密度ポリエチレン)

主に、スーパーのレジ袋やロールポリ袋などに使用されている素材です。ラミネート品に使用されることは、多くありません。
耐水性、耐アルカリ性、耐衝撃性、耐酸性、耐寒性、防湿性、密封性に優れた特性を持ちます。適度な強度はあるものの、突き出しには弱い傾向があります。
別名は「ハイデン」です。

LDPE(低密度ポリエチレン)

主に、ポリ袋、ゴミ袋、軽包装ポリ袋などに使用されている素材です。ラミネート加工でフィルムを貼りあわせるための樹脂として利用されることもあります。
ヒートシール性に優れた特性を持ちますが、ガスバリア性や耐熱性、耐油性は高くありません。別名は「ローデン」です。

LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)

主に、ONyなどの素材を貼りあわせたラミネートフィルムに使用される素材です。ラミネートに使用されるPE(ポリエチレン)は、ほぼすべてLLDPEと言われています。
ヒートシール性や耐衝撃性に優れ、かつ強度が強い点も特徴です。別名、「リニアローデン」または「LL」。

PET(二軸延伸ポリエステル)

PETボトルとして知られる素材。
他にも冷凍・ボイル・レトルトなどの食品袋や、LLDPEなどと貼りあわせたラミネート品、コーヒーや香辛料の包装などにも使用される素材です。
耐水性、耐熱性、耐寒性、透明性、耐薬品性、保香性などに優れた特性を持ちます。

OPP(二軸延伸ポリプロピレン)

主に、生鮮野菜や果物などの簡易包装袋として使用されている素材で、パリッとした触感や音が特徴的です。
耐熱性、耐湿性、引張強度、透明性などに優れていますが、単体ではヒートシール性に劣るため、LLDPEなどヒートシール性のあるフィルムとあわせた活用例が見られます。

CPP(無延伸ポリプロピレン)

麺やパンの袋としてよく見る素材で、PETOPPなどのフィルムと貼りあわせる形でラミネート袋にも使用されることがあります。
防湿性、耐熱性、耐摩耗性、ヒートシール性などに優れた特性を持ちます。

PVC/ポリ塩化ビニル(塩ビ)

食品用トレイやブリスターパック、シュリンク包装、キャップシール、ラップフィルムなどに使用されている素材です。硬質タイプと軟質タイプがあり、用途によって使い分けられています。
伸縮性や引張強度に優れた特性を持ちますが、滑り性やガスバリア性、防湿性、耐寒性などに劣る点が弱点です。

PVDC(ポリ塩化ビニリデン、サラン)

「サラン」という別名からも類推できる通り、主に食品保存を目的としたラップ素材として多用されている素材です。他の素材との併用で、レトルトパウチにも使用されることがあります。
ガスバリア性、防湿性、保香性、密封性などに優れた特性を持つ一方、ダイオキシンの発生源として敬遠される向きもあります。

PT / MST / Kセロ(セロハン)

PTは医薬品や乾物など、MSTはお茶袋やピロー包装用など、Kセロは医薬品や漬物袋などに使用されています。
PTは吸水性や透明性に優れた特性を持つ一方で、油を通さず帯電性がないという特性もあわせ持ちます。MSTは耐水性、防湿性、ヒートシール性に優れた特性を持ちます。Kセロは高いバリア性が特徴です。

メタロセンポリマー(メタロセンポリエチレン)

LDPEL-LDPEに代わって使用頻度が増えてきたPE系素材。素材としての短所が少ないことから、近い将来、代表的なPE素材として使用されていると予想されています。
耐衝撃性、低温シール性、耐寒性、ホットタック性に優れた特性を持ち、臭気やべたつき、ブロッキングなどの弱点も少ないことが特徴です。

EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合フィルム)

他の素材との構成により、ラミネートとして一般乾燥食品や漬物、タレの小袋、佃煮などの包装に使用されています。また、シールの失敗が少ないことから、高速自動包装や脱酸素剤包装、ガス充填包装などでもよく目にする素材です。
ヒートシール性、耐衝撃性、低温シール性、弾性などに優れた特性を持ちます。

アイオノマーPE / EAA

アイオノマーPEはハムなどの深絞り包装、EAAは医薬品や化粧品などの接着層などに使用されています。
アイオノマーPEEAAともに、低温シール性、ホットタック性、金属に対する接着性などに優れた特徴を持ちます。EAAについては特有の樹脂臭がするため、使用には注意が必要です。

KOP(ポリ塩化ビニリデンコートOPP

漬物や板こんにゃくなどの包装をはじめ、様々なタイプのガス充填包装や脱酸素剤封入包装、防湿包装などに使用されています。
PVDC樹脂をコーティングすることで、ガスバリア性や防湿性、保香性などに優れた特性を帯びます。

PS(ポリスチレン、スチロール)

ガス透過性が高いことから、呼吸する果物や野菜の包装で見られる素材です。また、透明性を活かして窓付き封筒などにも使用されることがあります。
おなじみの発泡スチレンの他、クリアなフィルムタイプ(GPPS)もあります。フィルムタイプのほうは硬くて脆いという弱点があるため、これを克服するためのゴム系樹脂がブレンドされることもあります。

AOPPVAコートOPP / トーセロ)

酸化しやすい乾燥食品を対象とし、ガス充填包装・脱酸素剤包装などに限定して使用されます。
OPPの片面にPVAをコーティングした素材で、酸素遮断性や防湿性、脱塩素性などに優れた特性を持ちます。

PVA / EVOH/ビニロン(ポリビニルアルコール)

味噌、漬物、油脂性食品などの酸化・変色防止包装、お茶、ハム、削り節などのガス充填包装をはじめ、脱酸素剤封入包装や真空包装など、幅広い用途に使用されている素材です。
水・水蒸気に弱い性質があることから、防湿包装には向いていません。
また、使用時には、フィルムの両面に防水加工を施すことが一般的です。

AL(アルミ箔)

いわゆる「アルミホイル」として様々な用途に使用されている素材で、PETCPPLDPEなどと貼りあわせたラミネートとして活用する例も多く見られます。
遮光性、保香性、耐熱性、バリア性に優れた特性を持つとともに、酸素や水分を通さないことから、脱酸素包装やガス充填包装などの際にも使用されることがあります。

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