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輸送する荷物の梱包基本知識
梱包方法

 輸送する荷物の梱包基本知識

多くの物流会社では、荷物の損傷を防いだり円滑な輸送を行ったりするため、荷物の梱包に関するガイドラインを設けています。
輸送に関わるスタッフが慎重に荷物を取り扱うことはもちろん、利用者にも荷物の損傷リスクに注意した梱包を行ってほしい、というガイドラインです。
ここでは、国内・国外向けの輸送における梱包の種類、および、多くの運送会社が推奨している梱包ガイドラインなどについてご紹介しています。

梱包の種類

梱包には多くの種類があります。以下、国内・国外輸送に利用されている主な梱包の種類を見てみましょう。

段ボール梱包

一般利用者をはじめ、多くの輸送用梱包として用いられている段ボール梱包。
通常の段ボール箱を利用した梱包のほか、強度の高い二重段ボール・三重段ボール、スキッド梱包と組み合わせた段ボールなど、輸送現場では様々なタイプの段ボール梱包が利用されています。
取り扱いの簡単さが特徴の段ボール箱ですが、素材は紙なので水分に弱いことが弱点。
また、重量物を入れた段ボール箱を長時間重ねていると、箱そのものが変形して内容物を損傷させる恐れもあるので、適宜利用の可否を検討する必要があります。
内容物の大きさ等にもよりますが、段ボール箱より後述する木箱のほうがコスト面で有利になることもあります。

木箱梱包

重量が1.5t以下の内容物を輸送する際に多く用いられている木箱梱包。文字通り、木で作られた梱包資材で、すかし箱や密閉箱などの複数のタイプがあります。
すかし箱とは、木の板などを網目状につないだ箱による梱包のこと。板と板の間に隙間があるため、水滴などの影響がない内容物の輸送に適しています。
密閉箱とは、木の板などで全体が密閉されているタイプの梱包のこと。頑丈で防水性も高いため、主に工作機械や産業機械などの輸送に用いられています。
なお木箱梱包は、いずれの種類にもⅠ型とⅡ型があります。Ⅰ型とは重量200kgまでの内容物、型とは重量1.5tまでの内容物が梱包の対象。
重量1.5tを超えるものを梱包する木箱は規格外とされるため、特注で製作することとなります。

スチール梱包

密閉箱やすかし箱、後述するスキッド梱包のうち、スチール素材で作られたものがスチール梱包です。
木製の梱包よりも容積を小さくできる点がメリットですが、木箱とは異なり、一度製作すると形・大きさの調整ができなくなる点がデメリット。
木箱とは異なり重量等が規格化されていないため、スチール梱包の製造会社により設計が異なる点は、利用者によってメリットにもデメリットにもなるでしょう。
一般的に、内容物の重量が2030tを超えるかどうかが、コスト面から見たスチール梱包の採用基準とされています。

スキッド梱包

木箱や段ボール箱のように周囲を覆わず、木材やスチールで作られた腰下(スキッド)の上に荷物を置いて固定されだけの梱包がスキッド梱包です。
荷物が裸で露呈している格好となるため、その上に別の荷物を重ねることはできません。一般的には、コンテナ1個分を要する大型の荷物を輸送する際、スキッド梱包された荷物をコンテナに収納する形で利用されます。
コンテナの利用を前提としている梱包方法なので、輸送に掛かるトータルコストは高め。スキッド梱包でなければならない荷物を送る際のみ利用される梱包方法、と考えて良いでしょう。

パレット梱包

段ボール箱などで個装された多くの荷物をパレット上に積み上げ、全体が荷崩れしないよう固定する梱包方法がパレット梱包です。
梱包法の一種として分類はされていますが、実際には梱包された荷物を重ねる際の荷台の役割となります。
パレットには隙間が設けられていることから、この隙間に爪を通してフォークリフトでバレットごと移動することが可能。多くの荷物の積み下ろしを効率化します。
パレットの素材は木、アルミ、スチール、プラスチックなど様々。

バリア梱包

輸送中の内容物に錆が発生することを防ぐために施される梱包。
防水性に優れたアルミ製の素材で荷物を覆い、内部から空気を抜いて乾燥材を一緒に同梱することで内容物からの錆の発生を防ぎます。主に輸出用として利用される梱包方法です。
なお、バリアする素材がアルミ製となるため、そのままでは内容物の外観を確認できません。
そのため、税関での調査に対応するために、素材にケイ素を交えた透明バリアが素材として用いられることもあります。

緩衝梱包

各種包装容器の内部に緩衝材を同梱する梱包方法。輸送中の揺れや衝撃を緩衝材に吸収させ、内容物の損傷を抑えるために緩衝材を同梱します。
主な緩衝材の種類は、気泡シートや発泡スチロール、紙など。それぞれの緩衝材には長所も短所もあることから、内容物の特徴に合ったタイプの緩衝材を選ぶことが重要です。
ばねなどを用いて包装容器の中で宙に浮かせる形で固定する「吊り梱包」も、緩衝梱包の一種と考えて良いでしょう。

バンドル梱包

周囲を覆う梱包資材を用いず、対象物を裸のままバンドルで固定しただけの梱包方法。
輸送中はトラックの壁や荷台の床などとやや激しくぶつかることもあるため、衝撃があっても問題のない対象物が輸送の対象となります(配管や鉄材など)。
輸送中の荷崩れ防止のため、バンドルには銅線などの頑丈な素材が用いられます。

国内梱包と輸出梱包

輸送先の違いにより、梱包は国内梱包と輸出梱包に分かれます。それぞれの概要を簡単に見てみましょう。

国内梱包とは

国内梱包とは、輸送元も輸送先も国内となる荷物に施される梱包を言います。
一般利用者の場合、段ボール箱による梱包が多くなりますが、業者間で輸送する場合や大型の対象物を輸送する場合は、上記でご紹介した段ボール以外の梱包が用いられることもあります。
国内梱包の場合、基本的には輸送距離が短いため、輸送途中での積み替えの頻度は高くありません。海外への輸送に比べ、輸送スタッフによる荷物の取り扱いも丁寧な傾向があると言われています。

輸出梱包とは

輸出梱包とは、輸送元が日本で輸送先が外国となる荷物に施される梱包を言います。
輸送手段は海上輸送と航空輸送の2種類。いずれの輸送手段であっても、外国に到着した後は陸上輸送が必要となるため、輸送距離が長い分、頑丈な梱包が求められます。
航空輸送の場合には、頑丈さとあわせて軽量化も梱包の重要な課題です。
なお、輸出梱包であっても、小型で軽量な荷物については、国内梱包と同様に簡易的な段ボール箱や木箱も多く用いられています。

梱包のガイドライン

荷物を傷つけることなく安全・円滑に輸送するためには、輸送スタッフはもちろんのこと、利用者も荷物に応じた適切な梱包を行う必要があります。
以下、物流業界で預かる多種多様な輸送物の中から、主に一般利用者が送ることの多い輸送物の梱包ガイドラインをご紹介します。

食品の梱包

水分を含む食品を送る場合、水分の漏れを防ぐとともに輸送中の破損も防ぐため、ガラス瓶ではなくプラスチック製の容器に入れます。
さらにビニール袋で包んだのち、ファスナー付きのビニールバッグなどでしっかりと封をし、段ボール箱などに詰めます。
複数の食品を1つの段ボール箱などに梱包する場合には、食品全体をラップで1つにまとめた上で段ボール等に詰めるようにしましょう。
いずれの場合でも、輸送中の食品の破損や偏りを防ぐため、緩衝材として新聞紙等を隙間に入れます。

ビンの梱包

輸送途中にビンが割れないよう、エアー緩衝材を用意しましょう。用意するエアー緩衝材の大きさは、ビンの大きさに対し「縦2×1.5倍」が基本です。
用意したエアー緩衝材をビンに巻き、ビンの首部分に余ったエアー緩衝材をねじってからビンの首に密着させ、セロテープ等で閉じます。
複数のビンを1つの段ボール等で送る場合には、エアー緩衝材で包んだビンを複数まとめてラップで包みましょう。
段ボール等の底面に緩衝材を敷き詰めて、その上にビンを配置。余った空間にも緩衝材をしっかりと詰めましょう。

ノートパソコンの梱包

ノートパソコンを購入した際の梱包が残っていれば、そのまま再利用することがおすすめ。すでに廃棄している場合には、ノートパソコンの大きさに対して「縦4×4倍」の大きさのエアー緩衝材を用意しましょう。
エアー緩衝材でノートパソコンを巻き、両サイドの余った部分をくるくると巻いて厚みを付け、ノートパソコンの足となるようにしてセロテープ等で固定。輸送中、底からの衝撃に強い状態にします。
段ボール箱等の底面に緩衝材を敷き詰め、その上に包装したノートパソコンを置き、隙間を緩衝材で埋めます。

重量物の梱包

本などの重量物を多く送る場合、紙袋などの破れやすいものではなく、段ボール箱を用意しましょう。
用意した段ボール箱の底の外側を、ガムテープで「H」型に貼って底が抜けないよう補強。段ボール箱の中に緩衝材を詰め、その上に重量物を置いて隙間に緩衝材を詰めます。
段ボール箱を閉じたら、底面と同様に天井面にもガムテープを「H」型に貼りましょう。

複数個の同一梱包

同じ商品などをまとめて複数個送る場合、各商品を収められる同じ形状・大きさの箱を用意します。
それぞれの商品を別々の箱に入れ、すべての箱が収まる大型の1つの箱の中に配置。隙間を緩衝材で埋めて箱を閉じます。

【まとめ】適切な梱包方法を知りたい方は専門業者に相談を

荷物の輸送に利用される梱包の種類、国内梱包・輸出梱包の違い、梱包のガイドラインなどについてご紹介しました。
梱包には様々な種類がありますが、それぞれに長所・短所があることから、一概に最善の梱包方法を推奨することはできません。
商品保護のために適切な梱包方法を知りたい方は、梱包の専門業者まで相談してみましょう。

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